皆さんは社会の「あたたかい地域とさむい地域」の授業をどのように行っていますか。今回は定着させなければならない「あたたかい地域とさむい地域」の知識を、「住むならどっち?」という主発問をもとに考えるという授業の提案です。これから授業を行う方の叩き台にしていただけたらと思います。
5年生の社会のスタート「日本の国土と世界の国々」「国土の気候と地形の特色」の授業の流れは謎解きで!実際に行った授業を紹介します!
の続きになります。
目次
「住むならどっち?」 調べ学習
学習を始める前に、子どもたちに、
「日本の中のあたたかい地域と言えばどこですか。」
と問います。
「沖縄」
という答えが返ってきます。
続いて、
「さむい地域と言えばどこですか。」
と問います。
「北海道」
という答えが返ってきます。そこで子どもたちに質問します。
「住むならどちらに住みたいですか。」
子どもたちにマグネットを貼らせます。私のクラスでは「あたたかい地域」の方が人数が多くなりました.理由を聞くと、
(沖縄)
・海が綺麗
・海ぶどうが食べられる
・雪がない
という理由でした。一方北海道は、
(北海道)
・ラーメンがおいしい
・雪だるまをつくりたい
・暑いより寒い方がいい
と言ったどちらも気候や生活を知らない上での意見でした。
そこでまずは、教科書や資料をもとに住みたい理由、住みたくない理由を探していきます。暖かい地域のメリット・デメリットは以下の通りです。
(あたたかい地域=沖縄)
メリット
・さとうきびの生産が多い
・海にはサンゴ礁が広がっている

・あたたかい海流の通り道でよい漁場になっている

・首里城などの世界遺産がある

・「エイサー」などの独自の文化がある

・冬もあたたかい気候をいかして「きく」の栽培を行える

デメリット
・台風が多い
・軍用地の問題がある

・観光や開発のためサンゴの白化など海の汚れが問題になっている

(生活)
・台風に備えてコンクリートの家にしたり、しっくいでかわらをとめる必要がある
(寒い地域=北海道)
メリット
・様々な農作物を育てることができる(じゃがいも・てんさい・米・小麦・牧草)
・降り積もった雪を利用して「雪祭り」が行われる

・知床の自然が世界自然遺産に登録されている

・アイヌの人たちが独自の文化をもっている

・自然を大切にしようという考えを広めるため「エコツアー」が行われている

・流氷や海流によって豊富な栄養分がもたらされ、ほたてやかになどが取れる

・夏の涼しい気候をいかして、酪農が行われている
デメリット
・1年間に降る雪の量が500cmを超える。平均気温が0℃を下回る月がある

・住民同士の交流はしているが、北方領土の問題が残っている

(生活)
・寒さが厳しく、水道管が凍ってしまう(破裂する)のを防ぐため「水抜きせん」がある
・寒さが厳しいため、窓を二重・三重にしている

・寒さが厳しく、「灯油タンク」を設置している
などです。
「住むならどっち?」その2 映像で確認する
調べ学習が終わったら、調べた内容をより深く知るため、NHK for Schoolの動画で確認します。
沖縄の気候や暮らしについての動画は多く、5つあります(令和2年現在)。すべての動画を一通り見ます。
「動画セレクション100」より
「沖縄の家の工夫」「沖縄のさとうきびづくり」「気候を生かした沖縄の農産物」「沖縄の自然や文化を生かした観光」「沖縄の文化を守る取り組み」
です。北海道の気候や暮らしについての動画は、2つあります(令和2年現在)。すべての動画を一通り見ます。
「十勝平野の輪作 ~北海道の農業~」「北海道の家の工夫 ~寒い土地のくらし~」
です。
「住むならどっち?」その2 調べた資料をもとに意見交換する
教科書・資料調べが終わり、映像でさらに深く知ることができたら、それらの情報をもとに立場をもって話し合いをしていきます。自由に話し合いを行うとテーマが広すぎてしまうので、テーマを絞って行います。「観光・生活」「農業・水産業」という大きなテーマで行います。○は賛成の意見、●は反対意見です。
「観光・生活」
(沖縄派)
○きれいな海とサンゴ礁が見られる
○首里城などの世界遺産が見られる
●台風が多いから、かわらをとめたり、コンクリートの家にするのが大変
●サンゴ礁は白化している
(北海道派)
○雪祭りが見られる
○知床の自然が見られる
●平均気温が0℃以下では雪祭りも知床も見るのが大変
●水道管が破裂したり、灯油代がかかる
「農業・漁業」
(沖縄派)
○「さとうきび」「パイナップル」「マンゴー」が食べられる
○「もずく」が食べられる
(北海道派)
○「じゃがいも」や「小麦」「米」などがたくさんとれる
○「ほたて」や「かに」などの海産物が豊富
それぞれの立場で話し合ったので、それらの意見をもとに最後は自分の立場を決めます。私のクラスでは、22対8で沖縄派の方が多い結果となりました。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回取り上げた問題は、テストで出題を確認したものばかりですので、押さえなければいけないポイントになると思います。しかし、教師が講義形式で授業を行っても子どもも飽きてしまいます。「自分から資料や教科書に向き合い、証拠を見つけて話し合い自分の知識とする」ことができる「どっちに住みたい」の授業をぜひやってみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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