小学校の教員の仕事と言っても、「勉強」を教えるだけが仕事ではありません。そんな中でも「給食」も大切な仕事の一つです。給食を教室まで運ぶ列を「給食列車」と呼びますが、皆さんはこの「給食列車」についていっていますか。そこで今回はこの「給食列車」についていくべきかどうかを紹介したいと思います。今どちらにしようか考えている方の参考になれば幸いです。
目次
給食列車について行かないのは是か非か
早速ですが、「給食列車」について行かないのは是か非かです。これは完全に「非」です。その理由をお話しします。
「給食列車」についていかない理由はきっと、「自主性」ではないでしょうか。「教師がついていかなくても自分たちで給食くらい運んでこれるだろう。」という自主性を育むという目的のもと、ついていかないのだと思います。これは大きな間違いです。
理由は、「給食列車」は食缶をこぼさなければ成功ではないということです。食缶を取りにいくときに騒いで取りに行ったり、走って取りに行ったりすることも失敗なのです。ではこの騒いだり、走ったりした時に担任の教師がついていかなければどうなるのでしょう。真面目について行く他の教師が注意をすることになります。つまり、担任の自分は「自主性」といって楽をし、真面目についていく教師が他のクラスを注意する状態になるのです。これは本当に正しい状態でしょうか。これは自主性を育てているのではなく、放任です。
もし一部の教員の自主性を重んじて、全員が「給食列車」に「ついていかなくてよい」となった場合、学校はどうなるでしょう。低学年は当然食缶をこぼすでしょう。高学年は騒いで、走って給食当番を行うでしょう。最悪の場合低学年とぶつかってしまうかもしれませんね。とても給食どころではありません。一人の教員の意志を尊重するということは、全員の意志も尊重しなくてはなりません。つまり一人の意志を尊重すれば、給食は成り立たなくなるのです。
自主性で行えていると思っている「給食列車」も、実は自分以外のみんなが支えてくれているおかげだと賢い方なら気づくはずです。
これらの理由から、「給食列車」についていかないのは「非」であると言えます。
給食列車について行かないことで起こりうること
続いて、給食列車について行かないことで実際に起こったことを紹介します。
小学校の給食配膳準備中に起きた事故について
小学校の給食準備中に起こった事故についてのご相談です。小学校での給食配膳準備では、食缶(98℃、10kg)を配膳室から教室まで当番2人で運ぶルールになっていましたが、片方の当番が委員会担当教師の指示で担任教師に無断で当番を怠たり、また上級生が1人で運ぶことが常態化していたこともあり、児童が1人で運ばざるを得ない状況下に置かれ、1人で運ぼうとしてはみたものの、途中で食缶を倒し、全治3ヶ月以上の大火傷を負いました。配膳準備時に教室、配膳室には教職員は誰も配置されていませんでした。また、応急処置においても靴下を脱がせてしまうといった失態があり、さらには、小学校の事故発生時の報告連絡体制に問題があり、119番通報に23分も要しました。文部科学省が出している学校事故対応指針では、1週間以内に基本調査報告会を開き、被害児童の保護者に説明するように定められていますが、1ヶ月経っても報告会も開かれておりません。上部組織である県教育委員会にも相談し、市教育委員会に指導が入っていますが市教育委員会は相変わらず動きません。調停や裁判に移行するしかないのでしょうか。
もし「給食列車」について行かないことでこんなことが起きていたら、きっと「クビ」では済まないでしょう。なぜなら「給食列車」について行くという責任を果たしていないからです。
また、私が補欠で入ったクラスでは、この担任も「給食列車」について行かない担任でした。私はついて行きますのでその日は一緒に給食室に向かいました。食缶を返すとき、給食当番の一人が吐いてしまいました。私はその場にいましたので、周りにいる子を教室に返し、近くにあるクラスに連絡をとり、「嘔吐物セット」を借りて処理することができました。
もしこの場面、担任がいつも通りついて行かなかったら、だれがこの嘔吐物を処理したのでしょう。当然周りにあるクラスの教師になります。あるいは、周りにいた子どもたちが面白がっていたずらをしたかもしれません。そうすれば2次被害へと広がっていたことでしょう。これらの事象がどれも、どのクラスにも起こりうることなのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。「自主性」という名のもと、「給食列車」について行かない教員は、周りの先生に大きな迷惑をかけ、その行為が大きな危険をはらんでいることがわかっていただけたと思います。もし周りにいる先輩の教員が、
「自主性を育てられるから『給食列車』は行かなくてもいいんだよ。」
なんて言ったら、この教員はあなたのことを何も考えてはいません。ただ楽な方向に一緒に進んでくれる人を探しているだけです。甘い言葉に目を向けず、正しい道を進んでください。
最後までお読みいただきありがとうございました。