4年生の最初の社会では、「事故・事件のないまちをめざして」の学習があります。皆さんはどのように学習を進めていますか。そこで今回は、「事故・事件のないまちをめざして」の中で「事件」について主に扱った、実際に行った授業の流れを紹介します。これから授業を行う方の参考になれば幸いです。
目次
「事件のないまちをめざして」の学習のスタートは「私たちの町は安全か」で問う
学習のスタートはやはり興味を惹きつける問題が必要です。そこでこんな写真の提示からスタートします。

「これは何の写真ですか。」
と子どもたちに問います。答えは、「誘拐事件」の写真と返ってきます。
続いて黒板にこんな数字を書きます。
「654、162」
「これは何の数字でしょうか。」
と子どもたちに問います。ノートに予想を書かせます。書かせた意見を発表させます。
「誘拐の数」「これまで誘拐された子の数」
と様々な意見がでます。正解を発表します。正解は、「2018年の日本全国の事件(刑法犯、凶悪犯、粗暴犯、窃盗犯、知能犯、風俗犯、その他の検挙数の合計)の数」です。ここで驚く子が出てきます。
続いて「これは何の数字でしょうか。」と問い黒板に書きます。
「766」
「事件で死んでしまった人の数」「自分たちの市の事件の数」
と様々な意見が出ます。正解は、「2018年の全国の事件で捕まった人の数」です。この数字を少ないと感じる子、多く感じる子がいました。
ここまで、インパクトの強い写真と数字で子どもたちの興味を惹きつけます。ここで主発問をします。
「安全会議を開きます。皆さんの町は安全ですか。」
この発問を単元を通した発問にしていきます。「安全」「危険」を自分で決めてノートに書きます。どちらか書けた子は理由もノートに書きます。
黒板に「安全」「危険」と書き、理由を聞いていきます。
「安全派」の子たちは、
「近くで事件がない」「警察がパトロールしてくれている」
などの意見が出ました。
「危険派」の子たちは、
「不審者がよく出る」「日本のいろいろなところで殺人事件が起きている」
などの意見が出ました。
意見が出揃ったところで、お互いの意見に対して反論する時間を取りました。
「安全派」に対するの反論は、「今は事件が起きていないだけ。」や「不審者は増えている。」、「警察はたまにしかいない。」「登下校の道に細い道がある。」という意見でした。
「危険派」に対する反論は、「メールがすぐに入る。」や「集団下校をする。」、「大人が助けてくれる。」という意見が出ました。
「それぞれの理由を確かめに行こう」と声をかけ、学習を進めていくことにしました。
「事件のないまちをめざして」の学習その2 「町たんけんで危険箇所を探そう」
「安全」「危険」に意見が分かれたら、その理由を確認するため、実際に「町たんけん」に出ます。
「登下校する道は安全なのか」「不審者があらわれたとき逃げる場所はあるのか」などを確認しながら地図に記入していきます。
町たんけんを終え、気づいたことをノートに書かせ、発表してもらいました。
(気づいたこと)
・お店などに「子ども避難所」の張り紙があった
・狭い通りには知らない家などに「子ども避難所」の張り紙があった

・暗くて狭い道は、どこにだれかが隠れていてもわかりにくい
などの意見が出ました。これらの調査を元に、再「私たちの町は安全か危険か」
をノートに書いてもらいました。結果は
「安全」17人「危険」13人
でした。「安全」の方がかろうじて多い結果になりました。理由を聞いてみると、
安全「子ども避難所がいろいろなところにあったから逃げられる。」
危険「避難所に入る前にさらわれてしまったら逃げられない。」
危険「隠れて出てこられたら逃げられない。」
危険「登下校の道に細くて暗い道が多かった。」
という意見が出ました。
「安全派」の「子ども避難所」の存在に気づいたのはとても大きなポイントです。普段は意識していない登下校ルートに、実は逃げ込める場所があることを知ることは身を守る上でとても大切です。
一方、「危険派」の意見は、想像の世界も含まれていますが、とても大切です。普段、何とも思っていなかった登下校ルートを、「危険なのでは」と疑ってかかるのは大切です。また、「こんな危険がありそうだから気をつけて通ろう。」という想像も、いざというときに必要な思考になります。
自分の登下校ルートをもう一度危険がないか考え、いざと言うときには「子ども避難所に逃げ込む」という新しい視点をもてたことを褒め、安全会議を終えました。
まとめ
いかがだったでしょうか。4年生の社会の「事件のないまちをめざして」の学習の流れを紹介しました。「安全会議」という形で「安全」「危険」と立場をもたせることで、どの子も立場をもって学習に取り組むことができたと感じています。この後、「警察の仕事」について学習する流れになります。今後授業を行おうと考えている方の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。