4年生の最初の社会では、「事故・事件のないまちをめざして」の学習があります。皆さんはどのように学習を進めていますか。そこで今回は、「事故・事件のないまちをめざして」の中で「事故」について主に扱った、実際に行った授業の流れを紹介します。これから授業を行う方の参考になれば幸いです。
目次
「事故のないまちをめざして」の学習のスタートは「私たちの町は安全か」で問う
学習のスタートはやはり興味を惹きつける問題が必要です。そこでこんな写真の提示からスタートします。

「これは何の写真ですか。」
と子どもたちに問います。当然答えは、「交通事故」の写真と返ってきます。
続いて黒板にこんな数字を書きます。
「430、345」
「これは何の数字でしょうか。」
と子どもたちに問います。ノートに予想を書かせます。書かせた意見を発表させます。
「車の台数」「交通事故の数」「交通事故で死んでしまった人の数」
と様々な意見がでます。正解を発表します。正解は、「2018年の日本全国の交通事故の数」です。ここで驚く子が出てきます。
続いて「これは何の数字でしょうか。」と問い黒板に書きます。
「3532」
「事故で死んでしまった人の数」「自分たちの市の事故の数」
と様々な意見が出ます。正解は、「2018年の全国の交通事故の死者の数」です。この数字を少ないと感じる子、多く感じる子がいました。
ここまで、インパクトの強い写真と数字で子どもたちの興味を惹きつけます。ここで主発問をします。
「安全会議を開きます。皆さんの町は安全ですか。」
この発問を単元を通した発問にしていきます。「安全」「危険」を自分で決めてノートに書きます。どちらか書けた子は理由もノートに書きます。
黒板に「安全」「危険」と書き、理由を聞いていきます。
「安全派」の子たちは、
「近くで事故がない」「信号がある」「警察がパトロールしてくれている」
などの意見が出ました。
「危険派」の子たちは、
「車の運転が危ない」「自転車の運転も危ない」「いろいろなところで事故が起きている」
などの意見が出ました。
意見が出揃ったところで、お互いの意見に対して反論する時間を取りました。
「安全派」に対するの反論は、「今は事故が起きていないだけ。」や「信号がないところもある。」、「警察はたまにしかいない。」という意見でした。
「危険派」に対する反論は、「事故が起きそうなところには信号がある。」や「自転車とぶつからないように線が引いてある。」、「安全に渡れるように工夫してくれている。」という意見が出ました。
「それぞれの理由を確かめに行こう」と声をかけ、学習を進めていくことにしました。
「事故のないまちをめざして」の学習その2 「町たんけんで危険箇所を探そう」
「安全」「危険」に意見が分かれたら、その理由を確認するため、実際に「町たんけん」に出ます。
「車が多く通る道路は歩行者にとって安全なのか」「歩行者が安全に通れる道はあるのか」などを確認しながら地図に記入していきます。
町たんけんを終え、気づいたことをノートに書かせ、発表してもらいました。
(気づいたこと)
・信号は大きな通りに必ずある
・狭い通りにはカーブミラーが多くあった
・標識がすごくたくさんあった
・落ちそうなところにはガードレールがあった
・点字ブロックがあって目の不自由な人にも安全だと思う
などの意見が出ました。これらの調査を元に、再度
「私たちの町は安全か危険か」
をノートに書いてもらいました。結果は
「安全」25人「危険」5人
でした。「安全」に多くの人数が移動しました。理由を聞いてみると、
「信号は必要なところにしっかりとあった。」
「見えないところにはカーブミラーがあって見えるようになっていた。」
「標識がたくさんあって車のルールがしっかりあった。」
という意見が出ました。一方「危険」と考えた子たちの意見は、
「信号があっても守らない車がいたら危ない。」
「自転車は飛び出してくる。」
「標識もお年寄りは見ていないかもしれない。」
という意見が出ました。「安全派」の「カーブミラー」に気づいたのはとても大きなポイントです。前方が見にくい道路では、歩行者や自転車の運転の際には、「カーブミラー」を見ることはとても大切な行動になります。
一方、「危険派」の意見は一見屁理屈のように聞こえますが、これが結構重要です。環境は社会が整えるけれど、危険を感じて行動するという意識は自分自身でもたなくてはなりません。お互いのよい意見を取り入れて安全会議を終えました。
まとめ
いかがだったでしょうか。4年生の社会の「事故のないまちをめざして」の学習の流れを紹介しました。「安全会議」という形で「安全」「危険」と立場をもたせることで、どの子も立場をもって学習に取り組むことができたと感じています。この後、「事件のないまちをめざして」の学習を行い、警察の仕事について学習する流れになります。今後授業を行おうと考えている方の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。