皆さんは社会の歴史の授業をどのように行っていますか。今回は定着させなければならない「日露戦争」と「条約改正」の知識を、謎解きでやってみるという授業の提案です。これから授業を行う方の叩き台にしていただけたらと思います。
小学生、6年生社会歴史の学習、「自由民権運動」と「日清戦争」の知識の定着は謎解きで!実際に行った授業を紹介します!
の続きになります。
目次
〇〇時代の謎を解き明かせ その1 「日露戦争の謎を解き明かせ」
今回は、「日露戦争」についての謎解きです。
クイズ①は、黒板に下記のイラストを掲示します。
「4つのイラストが表しているものをそれぞれ示せ。このイラストが表していることとは。」
です。
1つ目の答えは、「A日本」「Bロシア」「Cイギリス」「Dアメリカ」です。「Bロシア」に向かって剣を向けている「A日本」を後ろからイギリスとアメリカの2国が支援しています。2つ目の答えは、「日露戦争」と「日英同盟」です。日本の後ろにイギリスが隠れているところを読み取れるかがポイントです。
クイズ②は、
「①の中で一番有名な戦いとその結末とは。結末で日本が相手国と結んだ条約とその内容を示せ。」
です。
1つ目の答えは、「日本海海戦」です。「東郷平八郎」が指揮を取り「バルチック艦隊」を破りました。
補足説明として、
ロシア側の被害は、
沈没21隻、
戦死4830名
捕虜6106名 (wikipediaより)
日本側の被害は、
沈没3隻
戦死117名 (wikipediaより)
と日本軍の大勝利でした。2つめの答えは、「ロシアとの戦争に勝利した日本は、アメリカのポーツマスで『ポーツマス条約』を結んだ」です。その内容は、ロシアとの間に、
1「朝鮮の指導・監督」の権利
2「樺太の南半分と遼東半島の一部、南満州鉄道の権利」
3「日本の漁業権」などです。
クイズ③は、
「②の結末に対して日本国内の反応は。その反応の原因とは。その反応を示した代表的女性歌人とその代表作は。また、②の後の韓国への日本の対応とは。」
です。
1つ目の答えは、「戦争に疑問をもった」です。その原因は、「賠償金がもらえなかったから」です。
2つ目の答えは、「与謝野晶子」です。
代表作は、「君死にたまふことなかれ」です。
補足説明として、日本は戦争に勝利しましたが、国民は物価の高騰と税金の引き上げに苦しんでいました。一方、ロシアも革命が起き、戦争どころではありませんでした。このタイミングで講和をすることが日本にとって有利であったため講和をしましたが、完全なる勝利の上での講和ではありませんでした。日清戦争(戦死者1.3万人戦費2億円)では莫大な賠償金を得られたのに、戦死者や戦費を日清戦争より多く出した(戦死者12万人、戦費15億円)日露戦争では賠償金を得られなかったことで国民の戦争への疑問が高まり、与謝野晶子のような戦争に反対する歌人が現れました。これらのことを補足できるといいと思います。
3つ目の答えは、「韓国併合」です。1910年に朝鮮を植民地にしました。朝鮮ではここから朝鮮語ではなく、日本語を教えるようになりました。植民地化された国々では日本への反発が起こりましたが、日本は武力でこれを押さえました。
どの問題から取り掛かっても構いません。また、25分と時間を区切って行うことも同じです。時間が終わったら、子どもたちに発表してもらいながら解説をつけて答え合わせをしていきます。答えとイラストをノートにまとめて授業は完了です。
〇〇時代の謎を解き明かせ その2 「条約改正の謎を解き明かせ」
続いて、「条約改正」についての謎解きです。
クイズ①は、
「条約をもう一度見直すきっかけとなった事件とその内容とは。
です。1つ目の答えは、「ノルマントン号事件」です。内容は、イギリスのノルマントン号が和歌山県沖で沈没した際、イギリス人が日本人の乗客を助けなかったため、日本人は溺れて全員死亡しました。イギリス人船長は裁判にかけられましたが、領事裁判権を認めていたため、イギリスの領事が裁判を行いこの船長は無罪となりました。この裁判に対して日本国民から非難の声が上がり、条約の見直しの声が高まりました。
クイズ②は、
「2つの条約を改正した人物とは。それぞれ示せ。また、改正できた原因をそれぞれ示せ。」
です。1つ目の答えは、「領事裁判権の廃止」が「陸奥宗光」、
「関税自主権回復」が「小村寿太郎」です。
条約改正の原因は、領事裁判権の廃止が陸奥宗光の粘り強い交渉。関税自主権回復が日露戦争の勝利による国際的地位の向上です。
クイズ③は、
「日本政府が条約を改正するために行った取り組みとは。その取り組みを行った理由とは。また、①〜③を起きた時代順に並べよ。」
です。1つ目の答えは、「鹿鳴館」の建設です。理由は、欧米のような文明国であることをアピールするためです。18万円(現在の価値で40億円)をかけて造られました。
2つ目の答えは、③→①→②です。政府は不平等条約改正のために、欧米化を図りましたが、条約改正は中々進みませんでした。ノルマントン号事件で、世論の条約改正の声が高まると、陸奥宗光や小村寿太郎の交渉や、戦争でロシアに勝利するなどの国際的地位の向上もあり、条約改正が成功しました。
これもどの問題から取り掛かっても構いません。また、25分と時間を区切って行うことも同じです。時間が終わったら、子どもたちに発表してもらいながら解説をつけて答え合わせをしていきます。答えとイラストをノートにまとめて授業は完了です。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回取り上げた問題は、テストで出題を確認したものばかりですので、押さえなければいけないポイントになると思います。しかし、教師が講義形式で授業を行っても子どもも飽きてしまいます。「自分から資料や教科書に向き合い、答えを見つけて正解して喜びを味わい自分の知識とする」ことができる「謎解き」の授業をぜひやってみてはいかがでしょうか。次回は、
「小学生、6年生社会歴史の学習、「産業の発展と社会の動き」と「昭和の戦争」の知識の定着は謎解きで!実際に行った授業を紹介します!」
について紹介します。
最後までお読みいただきありがとうございました。