皆さんは社会の歴史の授業をどのように行っていますか。今回は定着させなければならない「江戸時代の文化と新しい学問」の知識を、「江戸と大阪どっちに住む?」という発問でやってみるという授業の提案です。これから授業を行う方の叩き台にしていただけたらと思います。
「小学生、6年生社会歴史の学習、「江戸幕府・江戸時代」の知識の定着は楽しく謎解き学習で!」
の続きになります。
目次
江戸時代の文化の知識の定着 その1 「あなたなら江戸と大阪どっちに住む?」で証拠を集めよう!
「江戸時代」では、17世紀末の「大阪・京都の文化(元禄文化)」と、19世紀初めの「江戸の文化(化政文化)」が栄えました。そこで今回は、
「あなたが町人なら、江戸と大阪どっちに住む?」
という発問を考えてみました。2つの文化を比較することで知識を深めようという狙いです。
そこでノートにどちらの町に住みたいか考えを書いてもらいました。どちらか決めたら理由を探していきます。まずは大阪の理由です。
【大阪派】
・天下の台所と言われ生活物資の多くが大阪に集められた(蔵屋敷)
・菱垣廻船・樽廻船で高級品である「酒・油・米・塩」が集まった
・上方文化「小説=井原西鶴」「俳句=松尾芭蕉」「歌舞伎・浄瑠璃=近松門左衛門」が栄えた
【江戸派】
・世界一の人口が集まり賑わった
・五街道が整備され流通が盛んになった
・化政文化「俳諧」「浮世絵=歌川広重」が栄えた
江戸時代の文化の知識の定着 その2 「あなたなら江戸と大阪どっちに住む?ついに決定!江戸NO.1の町!」で話し合う!
証拠を見つけ理由が書けたら話し合いを行います。黒板に【大阪派】【江戸派】と書き、ネームプレートを自分が選んだ側に貼ってもらいました。次に理由を話してもらいました。
大阪派は、
・「天下の台所」と呼ばれ、いろいろな物が集まるから仕入れたれ売るのが楽
・色々なものを買うことができる。中にはあまり手に入らない高級品もある
・文化も発達していて、面白い小説が読めたり、人形劇が見られる
という意見が出ました。
江戸派は、
・世界一の人口があってたくさんの人がいて賑やかだから(今も流行の最先端は東京だから)
・五街道が整備されていることでいろいろな場所にスムーズに行けるから(旅行もしやすい)
・いろいろな絵画も楽しめるから
という意見が出ました。反論もしましたが、個人の感覚の問題なのであまり深入りせずに話したい人だけ話してもらう形にしました。
最後にどちらがいいかネームプレートを貼ってもらいました。「たくさんの物が溢れている」という意見がイメージしやすかったのか、【大阪派】の人数が多くなりました。
話し合いの目的は、お互いの理由を元に、元禄文化と化政文化を理解することです。最終的にどちらの文化の知識も深められるといいと思います。
〇〇時代の謎を解き明かせ その3 「江戸時代の新しい学問の謎を解き明かせ」
引き続いて、「江戸時代の新しい学問の謎解き」になります。今回は、江戸時代の「測量」や、「蘭学」「国学」、「一揆」や「打ちこわし」についての学習です。
下の写真を拡大して黒板に貼ります。
クイズ①は、「この人物の名前とこの人たちが行ったことは何か?それぞれ行ったことにかかった年月はどのくらいか?また、この人物たちが参考にした学問は?」です。
1つ目の答えは、「伊能忠敬」と「杉田玄白」です。行ったことは、「正確な日本地図の作成」と「解体新書」です。
2つ目の答えは、「伊能忠敬」が「17年」。「杉田玄白」が「3年5ヶ月」です。どちらも長い年月がかかっています。
3つ目の答え、参考にした学問は、「蘭学」です。「伊能忠敬」は西洋の学問から天文学や測量技術を学び正確な日本地図に生かしました。「杉田玄白」と「前野良沢」はオランダ語の医学書「ターヘル=アナトミア」を翻訳し「解体新書」を出版しました。その繋がりが書けていれば正解です。
クイズ②も、まず大きく拡大した下の写真を黒板に貼ります。
「この人物の名前とこの人物が行ったことは何か?また、行ったことにかかった年月はどのくらいか?また、この人物が参考にした学問は?」です。
1つ目の答えは、「本居宣長」と「古事記伝」です。
2つ目の答えは、「35年」です。こちらもとても長い年月がかかっています。
3つ目の答えは、「国学」です。古くからの日本人の考え方を知ろうと研究を行い、「国学」を完成させました。これらの繋がりが書けていれば正解です。
クイズ③は、次の拡大した写真を黒板に貼ります。
「この戦いの名前と幕府と戦った中心人物は?この戦いで幕府と戦った人々はどんな思いをもっていたか?」です。
1つ目の正解は、「大塩平八郎の乱」と「大塩平八郎」です。
2つ目の正解は、「大塩平八郎の門弟や農民」などの人々が、「飢饉で苦しむ人々を幕府が救おうとしなかったことに対する不満があったから」です。大塩は、飢饉が起きているにも関わらず人々を救おうとしない役人や、米を買い占める商人に不満をもち反乱を企てましたが、半日も経たないうちに鎮圧され殺されてしまいました。
これもどの問題から取り掛かっても構いません。また、25分と時間を区切って行うことも同じです。時間が終わったら、子どもたちに発表してもらいながら解説をつけて答え合わせをしていきます。答えとイラストをノートにまとめて授業は完了です。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回取り上げた問題は、テストで出題を確認したものばかりですので、押さえなければいけないポイントになると思います。しかし、教師が講義形式で授業を行っても子どもも飽きてしまいます。「自分から資料や教科書に向き合い、答えを見つけて正解して喜びを味わい自分の知識とする」ことができる「謎解き」の授業をぜひやってみてはいかがでしょうか。次回は、「ペリーと開国と明治維新と文明開化」について紹介します。
小学生、6年生社会歴史の学習、「ペリーと開国」と「明治維新と文明開化」の知識の定着は謎解きで!実際に行った授業を紹介します!
最後までお読みいただきありがとうございました。