小学生、6年生国語「海の命」の話し合いは心情曲線で!実際に行った発問を紹介します!

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小学校6年生の物語文の中に、「海の命」があります。皆さんはどのように授業を進めていますか。今回は「海の命」を「心情曲線」を使って行った授業を紹介していきます。これから授業を行おうと考えている方の叩き台にしていただけたらと思います。

 

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目次

「海の命」の心情曲線は、「太一の気持ち」を「クエを殺して一人前の漁師になる」で追う

 

「海の命」のクライマックスの場面は、「太一」が「クエ」に会い、父を破ったかもしれないクエに出会う場面です。「太一」が「クエ」に出会ったときの、「太一の気持ち」を考えます。「太一」は、父がクエに破れてから、一人前の漁師になるために「与吉じいさ」に弟子入りしています。「与吉じいさ」が亡くなり漁が一人前にできるようになると、父の破れた瀬に行くようになります。そこでは、父の仇である「クエ」を倒すために探すような姿は見られず、会いたいと望みつつ、父の破れた、父が潜っていた瀬を楽しむような様子も見られます。

クライマックスでは、「太一」は「一人前の漁師になるためにクエを殺す」から「クエを父と思い殺さない」という気持ちに変化します。そこには「太一」の心の変化があったと思われます。そこでこのお話では、「太一」を「中心人物」として考えていきます。そこで心情曲線は、「一人前になるためにクエを殺す」「クエを殺さない」の二つの気持ちに対して書き込むワークシートにします。使った心情曲線は以下のファイルです。上のスペースには教科書の本文を貼り付け、文章のどこで曲線が変化するかを曲線で示していきます。

 

海の命 心情曲線 

 

「『太一』はどこで『クエを殺す』から『クエを殺さない』に変化したのか」を、子どもたちに心情曲線のワークシートに書かせ、確認します。クライマックスの場面に入る前は、「太一」の「一人前の漁師になる」という気持ちが続いていることを確認します。

クライマックス場面の心情曲線で分かれたのは、A「水の中で太一はふっとほほえみ、口から銀のあぶくを出した。」の部分から「クエを殺さない」に下がる曲線と、B「「おとう、ここにおられたのですか。また会いに来ますから。」」の部分で「クエを殺さない」に下がる曲線です。

 

「海の命」の主発問は、「太一のクエを殺さない曲線はどれが正しいか」で話し合う

 

どちらの答えが正しいと思うか、自分の考えをノートに書きます。書き終わったら、A 、B のどちらの考えかはっきりさせるため、黒板にマグネットを貼って立場をはっきりさせました。

2つの意見について話し合いを行います。「太一」の「一人前の漁師になるためにクエを殺す」の気持ちが「クエを殺さない」に変わるのは、A「水の中で太一はふっとほほえみ、口から銀のあぶくを出した。」か、

 

 

B「『おとう、ここにおられたのですか。また会いに来ますから。』」のどちらの場面かです。

 

 

Aでは、賛成意見として、「その前まで泣きそうになっていた太一がほほえんだから」や「この文章からもりの刃先をどけ笑顔になっているから」という意見が出てきました。

一方Bの賛成意見では、「『おとう、ここにおられたのですか。また会いに来ますから。』とクエを殺そうと思っていた太一が、父だと思い殺す気を無くしているから」や「このセリフの後、『こう思うことで、太一は瀬の主を殺さないで済んだ』と書いてあるため、ここで父と思うことで殺さずに済み、自分も助かったから」という意見が出ました。

Aに対する反対意見として、「ほほえんだから殺す気がないとはわからない」や「ここではまだ殺そうか悩んでいて決めていない」という意見が出ました。

Bに対する反対意見としては、「『おとう、ここにおられたのですか。』のセリフの時にはもう殺す気がないからもりの刃先をどけている。」や「殺す気のある人がほほえむのはおかしいから」という意見が出ました。

立場を決めて話し合いを行ったので、最後には解を示しました。答えはAです。なぜなら、「この魚をとらなければ、本当の一人前の漁師にはなれないのだと、太一は泣きそうになりながら思う。」の後、太一はほほえんでいます。太一はそこで「クエを殺すことで一人前になれる」という感情が変わり、「もりの刃先をどけ」クエを「おとう」と思っているからです。クエを殺そうと思って泣きそうになっている人が、突然ほほえんで笑顔になっているのに、まだクエを殺そうとしているというのは違和感があります。それらをふまえて、ここでは「水の中で太一はふっとほほえみ」から下がり、「クエを殺すのをやめた状態」ととられられると思います。

一方、Bと答えた子たちの、「『おとうここにおられたのですか。』でクエを父と思い、そこで初めて殺すのをやめた」という読み取りも、とても深い読み取りです。この太一のセリフには、太一がほほえんでもりの刃先をどけた理由が示されています。太一は父と同じようにクエを殺すことで一人前になろうとしたのではなく、父とは違いクエを生かすことで一人前になることを選んだわけです。この物語の主題になるのではないでしょうか。そんなお話をしてBの子たちの意見を褒め、授業を終えました。

 

まとめ

 

いかがだったでしょうか。今回「心情曲線」にして立場を決めて話し合うことで、子どもたちは教科書の中身をよく読み、自分の思いを込めた読み込みができるようになったのではないかと感じています。感想を交流しあうことも大切ですが、深い読み取りのために、教科書を元に話し合うことも大切な技能です。どんな風に授業を進めようか悩んでいる方にとって、今回の授業の流れを叩き台にしていただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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