梅雨が明けるといよいよ夏本番です。小学校では梅雨の始まりと同時に水泳指導が始まっていることと思います。水泳教室に通っている子にとってはなんとも無い水泳ですが、何も指導を受けていない子にとっては10m泳ぐのも中々大変です。しかし、それを大変だからと放っておくわけにもいかない先生方も大変です。ということで今回は、泳げない子への水泳指導です。指導の叩き台にしていただけたらと思います。
目次
小学生、水泳で泳げない子への指導① 水に慣れる指導
水が苦手な子に、水に無理して顔をつけさせようとしても中々進歩しませんね。そこでまずは楽しみながら水に慣れる訓練をしていきます。
まず苦手な子を2つのグループに分けます。クラスでやる場合には全員を2つのグループに分けます。分けたグループを、プールの縦の壁に一列で並ぶよう指示をします。
顔の向きはプールの右側に向かって並びます。並び終わったら、前の人の背中に5秒ほど水を掛けます。掛け終わったら回れ右をして、今自分に水を掛けていた子に向かって水を先ほどの3倍掛けます。仕返しです。これも5秒ほど掛けます。「楽しみながら水に慣れること」を忘れずに指示しましょう。この段階では、背中にしか水が掛かっていませんので、水が苦手な子でも楽しんで参加できます。
次に、プールの中央に向かって歩きます。向かい合う子とぶつかるまで歩いていきます。
ぶつかった正面の人に水を掛けます。先ほどの背中に比べると顔に水が掛かるので少し負荷がかかります。背中から顔と徐々に水を浴びることで水に慣れる指導をしていきます。
小学生、水泳で泳げない子への指導② 水に浮くための指導
水に慣れてきたら、次は大切な「浮く」ための練習です。
まず、プールサイドで、手で足を抱え、あごをつけ、でんぐり返しの形になります。
そのまま息を止め、10秒数えます。
次に、プールサイドで、教師が持ち上げて逆さまにし、「ダルマ浮き」を体感させます。水中でひっくり返って浮く感覚を体験させるためです。
ダルマ浮きの状態から「立つ」練習をさせます。ここまでできたらいよいよ水中で行います。
プールの中に入ったら、先ほどと同じダルマ浮きを教師が上下から支えて行います。
少しずつ支えている手を緩めて、自分だけで浮けるようにしていきます。
小学生、水泳で泳げない子への指導③ たくさん泳がせるための指導
水に浮く感覚を覚えてきたら、水泳の基本の形になる「けのび」に入ります。
プールの縦の壁に一列で並ぶように指示します。この時、プールのコースに書いてある数字を使います。今回は1コース目に全員一列で並びます。
ルールは簡単です。1コースから「けのび」を行い、壁に手がつくまでけのびができた子は、回れ右をして歩いて2コースに移動します。2コースからけのびをして壁まで手をつけた子は、回れ右をして歩いて3コースという形でどんどん距離を伸ばしていきます。
こうすることで、泳げる子も泳げない子も、自分に合ったペースで学習を進めることができます。どんどん距離が長くなることで目標もできますし、プールが8コースまであれば自然と8本は泳ぐことになりますので、運動量も確保できます。
けのびを苦手な子が、少しでも距離を伸ばせるようになったら、次は「バタ足」で同じように指導していきます。同じように、目標と運動量を目的に練習させていきます。これらの指導は下の書籍を参考に実践しました。下の書籍には、これ以外にも、跳び箱やマット、短距離走や逆上がりと様々な単元の展開方法が載っています。興味のある方はお読みください。
小学生、水泳で泳げない子への指導④ クロールができるようになる指導
最後は、クロールが泳げるようになる指導です。クロールができない子の多くは、「バタ足」が最後まで続きません。その結果、中々前に進まず、疲れて沈んでしまいます。まずはバタ足を強化していきましょう。
ビート板を持ち、バタ足で25mを泳がせます。顔は水につけず、バタ足のみで泳ぎます。バタ足で泳ぐことに慣れるまで何本も泳ぎましょう。これがクロールの基本になります。
次に、ビート板を足に挟み、腕をクロールのように動かして泳ぎます。
ビート板は小さく切れるとより挟みやすいですが、できなければ普通の大きさで頑張って挟んでやるように指導しましょう。体が小さい子はビート板の浮力に耐えられないかもしれません。後ろからついてビート板を沈めてあげながらやらせてもいいと思います。
この練習は、「腕の動き」の練習なので、水中で「水をかく」動きをプールサイドで確認してからこの練習を始めるようにしましょう。
続いて、最大の難所、息継ぎです。クロールはバタ足と違い、息継ぎの顔の向きが違います。バタ足は真っ直ぐ顔を上げるのに対し、クロールは斜め上に顔を上げます。顔を斜め上に上げて息を吸えるように、その練習をします。私は右上を向いて息継ぎをするので、左腕を伸ばしてビート板を持ちます。左肩に頭をつけ、常に水上に顔を上げ、右上を向いた状態でバタ足をします。右腕だけをクロールのように動かして25mを何本も泳ぎ、息継ぎの方法を覚えます。
これらの形を覚えることを通して、最後に両手を持ち、教師が引っ張ってあげて泳ぐ練習をしていけばより早くクロールができるようになると思います。
まとめ
水が苦手な子に対する指導についてお話ししてきました。特に、水に慣れる、水に浮く指導は、体の軽い低学年のうちに行うことが理想的です。クロールに関しては、他にも様々な良い方法があると思います。ぜひ今回の記事は叩き台として扱っていただけたらと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。