小学生、4年生国語「一つの花」の話し合いは心情曲線で!実際に行った発問を紹介します!

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小学校4年生の物語文の中に、「一つの花」があります。戦争教材ですが皆さんはどのように授業を進めていますか。今回は「一つの花」を「心情曲線」を使って行った授業を紹介していきます。これから授業を行おうと考えている方の叩き台にしていただけたらと思います。

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目次

「一つの花」の心情曲線は、「父の気持ち」を「悲しい」で追う

 

「一つの花」のクライマックスの場面は、お父さんが戦争に行く場面です。家族でお父さんをお見送りに行くときの、「お父さんの気持ち」を考えます。なぜお父さんかと言うと、「ゆみこ」はこのお話の大部分ではまだ赤ん坊で、幼すぎて気持ちの変化がわからないため主人公にはなりません。お母さんは、お話の間に気持ちが大きく変わったといえる場面はなく、ずっとゆみこやお父さんを心配している様子が見られます。一方お父さんは、クライマックスで家族と離れて戦争に行ってしまいます。そこにはお父さんなりの心の変化があったと思われます。そこでこのお話では、「お父さん」を「中心人物」として考えていきます。そこで心情曲線は、「悲しい」「普通」の二つの気持ちに対して書き込むワークシートにします。「悲しい」の反対は「嬉しい」ですが、戦争に行くお父さんが「嬉しい」気持ちになることはないので、「普通」までに留めておきます。使った心情曲線は以下のファイルです。上のスペースには教科書の本文を貼り付け、文章のどこで曲線が変化するかを曲線で示していきます。

 

一つの花 心情曲線 

 

お父さんのそれまでの行動を見ていくと、予想される気持ちは、「ゆみ子と一緒にいたい。」ですとか、「家族と離れたくない。」という気持ちだと思います。物語の始めからお父さんは、むちゃくちゃに高い高いするなど、戦争している時代に対して不幸せな感情を抱いている様子が伝わってきます。そんな中、もうお別れしなければならない直前にゆみこが泣き出してしまいます。お父さんはこの時どんなことを思っていたのか、そんなお父さんの思いを、子どもたちに心情曲線のワークシートに書かせ、確認します。心情曲線で分かれたのは、A「一つだけのお花、大事にするんだよ。」の部分から「悲しい」が少し上に上がる曲線と、B「それを見てにっこりわらうと、なにも言わずに汽車に乗って行ってしまいました。」の部分で上に上がる曲線です。最後は、Cずっと「悲しい」の深い部分を伸びる曲線の3つになります。

 

「一つの花」の主発問は、「お父さんの気持ちの曲線はどれが正しいか」で話し合う

 

お父さんの戦争に行く前までの「悲しい」気持ちを確認した上で、クライマックスの話し合いをしていきます。ここでは、泣いているゆみこがわらった後、お父さんは汽車に乗って行ってしまいます。お父さんの気持ちに変化はあったのか子どもたちに問うことで話し合いをしていきます。

3つの考えの中で、どの答えが正しいと思うか、自分の考えをノートに書きます。書き終わったら、A  、B 、Cのどの考えかはっきりさせるため、黒板にマグネットを貼って立場をはっきりさせました。

 

 

次に、どの考えが適切でないかを決めてノートに書きます3つ一緒に話し合うと話し合いが深まらないため、一つずつ解決していきます。一番始めにおかしいと意見が出たのはCの意見です。確かに戦争に行くお父さんの気持ちを考えれば「悲しい」気持ちが変わらないのはわかりますが、「ゆみこが泣き出してしまい、お父さんの渡した花でわらってくれた」という出来事があったのに何も変化がしないのでは、人間味がありません。実際にお父さんは、にっこりわらっています。気持ちに全く変化がなく、悲しいだけの人間の姿には見えません。そこでCは不正解とします。

 

お父さんの気持ちに変化が見られたのは、「花を渡したとき」か「ゆみこがわらったのを見てにっこりしたとき」かを話し合う

 

最後に残った2つの意見について話し合いを行います。お父さんの「悲しい」の気持ちが少しでも和らいだのは、A「花を渡したとき」か、B「それを見てにっこりわらうと」のどちらの場面かです。

 

 

Aでは、賛成意見として、「お父さんは花に自分の思いを託した」「花は自分の代わり」という意見が出てきました。花を渡すことで、自分の思いは伝えた、伝えられたから悲しいが少し和らぐという意見です。

 

 

一方Bの賛成意見では、「ゆみこは足をバタつかせて喜びました」というゆみこの様子を絡め、「それを見てにっこりわらうと」と書いてあるため、泣いているゆみこを喜ばせることができ、少し心が和らいだからという意見が出ました。

Aに対する反対意見として、「渡した時点ではゆみこはまだ泣いている」「もしこのまま泣いていたらお父さんの悲しい気持ちは変わらない」「最後に見た顔が泣き顔は悲しい」という意見が出ました。

Bに対する反対意見としては、「最後にお父さんはゆみこの顔を見ていないで、ゆみこの持っている一つの花を見つめている、それは花に思いを託したから」「もしゆみこの様子が気になるなら、最後に見つめるのは花ではなくゆみこの顔」という意見が出ました。お父さんはすでに花を渡したことで、ゆみこに、「大切にしてほしい」「大きくなってほしい」などの願いを込められたから「後悔はない」気持ちになっているよという意見でした。

立場を決めて話し合いを行ったので、最後には解を示しました。答えはBです。なぜなら、「大事にするんだよ。」の後、お父さんはゆみこの反応を見ています。そこで「ゆみこが足をバタつかせて喜んだ」その瞬間を見て、お父さんは「にっこりわらって」いるからです。「わらっている」人が、深い悲しい気持ちのままであるとは言えません。また、もしここで花を渡してもゆみこが泣き続けていたら、最後にみたゆみこの顔が「泣き顔」になってしまいます。お父さんはきっと深い悲しみのままだったでしょう。それらをふまえて、ここでは「深い悲しみ」から少しだけ上り、「悲しみが少し和らいだ状態」ととられられると思います。

一方、Aと答えた子たちの、「花に託した思い」もとても深い読み取りだと思いました。なぜなら、最後にお父さんは「ゆみこ」ではなく、「花を見つめながら」戦争に行ってしまうからです。そこにはお父さんの、「花に込めた思い」はあったと考えられます。そんな読み取りができた子たちを褒めて授業を終えました。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。今回「心情曲線」にして立場を決めて話し合うことで、子どもたちは教科書の中身をよく読み、自分の思いを込めた読み込みができるようになったのではないかと感じています。感想を交流しあうことも大切ですが、深い読み取りのために、教科書を元に話し合うことも大切な技能です。どんな風に授業を進めようか悩んでいる方にとって、今回の授業の流れを叩き台にしていただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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